9月議会において、マイナンバー制度と戸籍連結準備費反対の立場から補正予算に反対討論を予定していました。

が、熟慮の末討論を取り下げる結果になりました。せめて、原稿を掲載します。ご意見など頂けましたら幸いです。

第73議案 一般会計補正予算について、反対の討論を行います。
私は、マイナンバー制度そのものに反対の立場から、ただ1点、本補正予算の内、マイナンバー制度導入に向けた戸籍システム記録文字情報収集委託事業 21万Ⅰ千円について、反対致します。

マイナンバー制度は、本年3月議会一般質問で指摘しましたように、住民の福祉と安全に反する3つの問題点があります。

まず第1に、市民の個人情報・プライバシーの漏えいや、なりすましの危険です。
マイナンバー制度は、情報連携により、個人情報の漏えいの危険は、果てしなく高くなります。どんなに、セキュリティ対策を行っても、サイバー攻撃やオペレーションミス等の危険性は、否定できません。

第2に、②膨大な税金と労力のかかる無駄使いの制度です。
初期費用2700億円、年間維持費300億円が予定されていました。更に、度重なるシステム改修を要し、費用はかさんでいます。
本市だけでも、昨年までにほぼ国の費用とはいえ約2億円が投入されています。職員の心身の労力と、費用に対して、効果は、限定的です。

第3に、最も恐ろしいのは、マイナンバー制度は、税金や年金、福祉や医療など、個人のプライバシーを丸ごと把握し、管理し、監視し、市民の自由を侵害していく制度ということです。
スノーデン氏が警告するように、すでに、インターネットや携帯電話、盗聴法や監視カメラ、GPS等を通じて、自由のない監視社会になっています。
一方、国家の情報や秘密は、公然の嘘や文書改ざん等により隠されます。2013年に成立施行された特定秘密保護法によって、どんな情報があるかさえも秘密にされます。
国家の秘密と市民の監視は、アベ政権が進める戦争できる体制構築の一環です。
憲法違反の集団的自衛権を容認する新安保法制、
昨年6月強行採決された現代の治安維持法と言われる共謀罪、
文科省予算にも届く5兆3千億円に上る軍備拡張・防衛予算、
憲法改悪の動きと、連動するものです。

自由と平和を愛する私たちは窮地に立っています。

監視社会がどんなに恐ろしいか、歴史は教えます。治安維持法と憲兵体制に監視される中で、小林多喜二など文化人や民主主義者は殺されつぶされ、市民は戦争反対も、素朴な疑問も言えず、国家総動員、翼賛体制に組み込まれていきました。

更に、今回の補正予算21万1千円は、マイナンバー制度と戸籍の連結に向けて、戸籍に記録されている文字コードを統一化を図るために、文字情報の抽出作業等を委託するというものです。

戸籍制度は、戦前の家制度を前提とする、家族単位の管理システムです。身分関係を、どこからでも、どこまでも辿ることができます。
従来から、結婚、離婚、養子、婚外子、部落差別、外国人差別、女性差別、LGBT差別など、プライバシーと差別の塊と批判されてきました。
私自身、友人たちと「婚外子差別をなくし戸籍制度を考える会」をつくり、差別撤廃へ長年取り組んできました。
日本弁護士連合会も、本年1月「マイナンバーと「戸籍情報を紐付ける必要はなく、プライバシー侵害の危険性が高くなる。また、費用対効果の観点からも問題がある。」と「戸籍情報と個人番号は紐付けしないように求める」意見書を出しています。

マイナンバーの戸籍との連結は、とりわけ危険でありストップするべきです。
「人権都市宣言」を行っている本市に、回避を含めて検討されるように求めます。

以上のように、市民の福祉と安全を脅かすマイナンバー制度そのものに反対です。
よって、本第73議案一般会計補正予算案に反対します。

併せて、認定第1号 平成29年一般会計歳入歳出決算認定について、マイナンバー制度運用事業費517.6万円、および、
心のふるさと館整備事業費等14億4746万3千円について反対します。

討論を終わります。